冬にも多い食中毒で下痢に

下痢の原因は冬にも多い食中毒
下痢の原因となる食中毒ですが、実は意外なことに、食中毒が多い季節は冬なのです。

ジメジメとした梅雨や、暑い夏の時期よりその発生率は高いのです。
油断は禁物です。

年末年始を健やかに過す為に下痢の原因を作らないためのポイントを見てみましょう。

食中毒で下痢や嘔吐を起こす微生物

私たちの食べ物は、細菌やカビといった微生物にとってもおいしい食べ物です。

微生物には、食べ物を腐敗させたり、発酵させたりするなど、有害なものと有益なものがあります。

微生物は肉眼では見ることができませんが、あらゆるところに存在します。

例えば、土壌中、空気中、調理台の上、エアコン、人の手指など至るところに存在しており、そこから食べ物に微生物が付着します。

食品工場では衛生管理がされていますが、微生物を完全にゼロにすることは難しいです。

中でも食中毒を起こす微生物は、食品や容器を介して人体に入り、消化器に異状を起こす病気のことです。

食中毒菌がいても見た目や臭いは普通の食品とほとんど変わらないことがあるので注意が必要です。

その原因によって、「細菌性」「ウイルス性」「自然毒」「化学性」などに分けられます。

また、野菜や卵など加工される前の食べ物の材料にも、微生物は付着しています。

通常は加熱調理することによりこれらの微生物は死滅しますが、中には加熱しても生き残ることのできる微生物(耐熱性菌)もいるため注意が必要です。

食べ物にはすべて微生物が付いているものだと考え、対策を行うことが大切です。

食べ物の中で微生物が増える

食べ物に付着した微生物は、生育に適した条件(温度、pH、水分、栄養など)になると「分裂」により増殖します。

仮に10分に1回分裂する微生物が1個付着したとすると、10分後には2個、60分後には64個、5時間後には約10億個にまで増殖する計算となります。

微生物が増殖する速さは種類によって異なります。

生育に適した条件であれば、例えば腸炎ビブリオ菌では8分に1回、黄色ブドウ球菌では27分に1回分裂します。

また、微生物によって生育に適した条件もさまざまです。通常は30~37℃付近が生育に適した温度ですが、低温で増殖できる微生物(低温細菌)もいます。

微生物が増殖すると腐敗や食中毒のリスクが高くなる

これらの微生物が食べ物の中で増殖し、食べ物の成分が分解されることで、腐敗が起こります。

また食中毒の原因はいろいろありますが、食べ物の中で微生物が増えた結果として食中毒が起こる場合も多いのです。

このように、微生物の増殖は食べ物の腐敗や食中毒のリスクを高めていきます。

腐敗・変敗とは

腐敗とは、微生物の増殖によって食べ物の成分が変質し、食べられなくなる状態のことです。

同じように微生物によって食べ物の成分が変質する場合でも、人間にとって有用な場合には発酵と呼ばれます。

同じように微生物によって食べ物の成分が変質する場合でも、人間にとって有用な場合には発酵と呼ばれます。

例えば、代表的な発酵食品である味噌や醤油、ヨーグルトなどは、微生物の力を借りて大豆や乳の成分を変質させてつくられます。

下痢や嘔吐などの消化器症状を引き起こす食中毒

①細菌性食中毒
サルモネラ属菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌など

②ウイルス性食中毒
ノロウイルス、ロタウイルスなど

③自然毒食中毒
フグ毒、毒きのこ、トリカブト、じゃがいもの芽の部分など

④化学性食中毒
農薬、洗剤、食品添加物、水銀・鉛などの化学物質

食中毒は夏に多い細菌性と冬場に多いウイルス性

さまざまな原因によって引き起こされる食中毒ですが、そのほとんどは細菌性とウイルス性です。

細菌は高温多湿を好んで増殖するため、細菌性食中毒は、梅雨や夏の時期に多く発生します。

一方、ウイルス性食中毒は冬場に増加します。

低温や乾燥した場所で長く生きることができるウイルスは、寒い冬が大好きです。

食中毒の原因は約4割が細菌、約5割がウイルスによるものです。

ノロウイルスは特に注意

中でも、最も多いのが強烈な嘔吐や下痢を伴うノロウイルスによる食中毒です。

このウイルスは感染力がとても強く、感染規模が拡大することも多いため、結果、発生件数もダントツなのです。

ちなみに、ノロウイルスによる食中毒は、年間の食中毒患者数の半分以上を占めています。

ノロウイルスの発生原因は、牡蠣などの二枚貝の生食で起こり、少量でも感染しやすく一気に拡大するため患者数も最多となります。

ノロウイルスは感染力が強いので特に注意が必要です。激しい下痢と嘔吐に悩まされます。

他にも、季節を問わず調理の仕方で起こるもの

・カンピロバクター……主に鶏肉の生食、加熱が不十分な肉

・腸管出血性大腸菌……汚染された食品(惣菜など)、生や加熱が不十分な肉など

・ウェルシュ菌……カレーやシチューなどの煮込み料理など

・黄色ブドウ球菌……汚染された食品(おにぎりなど)

なお、自然毒は春や秋に増える傾向があります。

冬場の食中毒の防ぎかた

食中毒予防の三原則は細菌やウイルスを「つけない・増やさない・死滅させる」ことです。
①つけない
●爪の先や指の間、手首など、手をまんべんなく丁寧に洗う。

●調理に使う器具や食器、手を拭くタオルなどを清潔に保つ

●生の肉に触れたものは、加熱しないで食べる食材としっかり分けておく

②増やさない
●房器具の近くでは細菌が増えるので、少しの時間の保管場所でも温かい所は避ける

●余分な食材や料理などは冷蔵庫や冷凍庫に入れ、細菌が好む温度帯を避け増えないようにする

③死滅させる

●しっかり加熱することで死滅させる

●食材の芯の部分まで火や熱を通すようにする

加熱しても毒素が残るものもあるため、まずは「つけない」「増やさない」を徹底することが重要です。

また、アルコール消毒で多くの細菌・ウイルスを消毒できますが、ノロウイルスは死滅しないため、こちらもやはり「つけない」ための工夫を意識しましょう。

そして同時に、食中毒に負けないよう、食事・睡眠・適度な身体活動での体の土台作りも忘れないでくださいね。

特に冬場は冷えによって胃腸が弱りがちです。温かいメニューでは食材にもしっかりと火を通すので、胃腸を労わりながらの食中毒予防にもつながります。

腸内環境を整えよう

昔から「冷えは万病の元」と言われてきました。しかし、現代は暖房が行届き、昔の様に手足が冷たく感じることはなくなってきました。

それなのに、「冷え」で悩む人が多いのは、基礎代謝が落ちているため、必要なエネルギーがうまく作りだせない、あるいは血液の循環が悪いからです。

体の隅々まで酸素や栄養を運ぶことが出来なくなり、当然腸も活発に働けなくなります。

腸内細菌は減り、腸内環境は悪化、免疫細胞も低下し、食中毒にかかりやすくなります。

逆に腸内環境をしっかり整えると、血液の循環、体温上昇、免疫力アップなど健康的になり、病気に負けない丈夫な身体に変化します。

腸内環境を整えるサプリメントがありますので、上手に利用しましょう。