年末年始のハム類が下痢に

下痢の原因・年末年始の常温保存のハム類
年末年始にはお歳暮や年始の挨拶の品物にハムがあります。

最近は要冷蔵の「ハム詰め合わせ」を常温のまま送る人が増えています。

このことは食中毒になる危険性が大いにあります。では、なぜなのかご一緒に考えてみましょう。


目次
・食中毒を起こす常温ハム  ・食中毒を起こすボツリヌス菌  ・ボツリヌス菌の特徴  ・死に至るボツリヌス菌  ・ボツリヌス症の症状 ・食中毒の実例  ・ボツリヌス菌食中毒の予防法 ・腸内環境を強化しよう

食中毒を起こす常温ハム販売は絶対に食べてはいけません

2019年12月20日の毎日新聞 の記事によると、要冷蔵のものを常温で保管すると食中毒菌が繁殖し、食中毒の危険性があります。

絶対に食べないでくださいと書かれています。以下はその記事です。

毎日新聞の記事
「要冷蔵」ハムを常温販売 ネットのフリマサイトで横行 消費者庁「食べないで」
お歳暮で贈られることも多い「要冷蔵」のハムやかまぼこをインターネットのフリーマーケットに出品し、常温のまま配送するケースが横行している。

消費者庁やフリマの運営事業者は出品者にクール便の利用を求めているが、記者が取材で購入してみたハム詰め合わせも、5日間かけて常温で届いた。

「要冷蔵品ですが、冬ですので常温発送します」「発送まで冷蔵庫で保管しますが、保冷剤を入れて常温で発送します」

 大手フリマアプリで「お歳暮」などと検索すると、要冷蔵の食品を常温で配送するとうたう商品が多数見つかる。

個人間で売買するこうしたアプリには、利用者の安全のため匿名で配送できる仕組みがあるが、クール便は匿名で使えない。

送料も数百~1000円以上高くなることが、背景にあるとみられる。

記者も取材のため、フリマ大手の「メルカリ」で、常温配送だという生ハム、ウインナー、焼き豚などの5点詰め合わせを3800円で購入してみた。

送り主は山陽地方在住で、東京都内で受け取るまでにかかった日数は5日。「要冷蔵」の食品は10度以下での保存が求められているが、それより気温が高い日も多く、郵便局内などはさらに温度が高い。保冷剤が有効なのも1時間程度だ。

消費者庁の担当者に購入を伝えると「絶対に食べてはいけません」。メーカーのプリマハムは「指定の温度を守って保管、配送してほしい」と訴えた。

ハムなどで危険なのが、食中毒で死亡することもあるボツリヌス菌だ。

嫌気性で熱に強いため、真空パック内などでも増殖し、家庭で加熱して死滅させるのは難しい。

消費者庁によると、個人間の売買でも食中毒の危険性を知った上で繰り返し販売すれば、食品衛生法違反に当たる可能性もあるという。

万が一、食品事故が起きた際は責任も問われかねない。
 
消費者庁は10月下旬、フリマ大手のメルカリ、ヤフー、楽天に対し、要冷蔵品の常温配送について注意を促す協力を要請。

各社は利用者向けのお知らせや出品ガイドに注意を追加するなどした。メルカリは取引を監視し、問題があれば警告や削除をするとしている。

楽天は利用規約を改正して違反があれば出品を削除する対応を始め、ヤフーも同様の対策を検討中という。                                      
以 上
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食中毒を起こすボツリヌス菌は酸素のないところで増えるから怖い

ボツリヌス菌は、土壌や河川、動物の腸管などの自然界に広く存在します。

酸素の無ないところで増え、熱に非常に強い芽胞を作ります。

また、自然界の中では最も毒性の強い神経毒を作る特徴があります。

ボツリヌス菌の特徴

ボツリヌス菌は芽胞(がほう)という「固い殻に閉じこもった種子のようなかたち」になると、熱、乾燥、消毒薬等に強い状態になり、増えることはできませんが厳しい環境でも長く生き延びます。

ボツリヌス菌の芽胞は、低酸素状態などの生育環境が整うと発芽・増殖が起こり、毒素がつくられます。
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死に至るボツリヌス毒素

ボツリヌス菌の毒素は、現在知られている自然界の毒素の中では最も毒性が強いといわれ、A〜Gまでの型に分類されています。

ボツリヌス菌は嫌気的な食品において増殖する際、毒素(ボツリヌス毒素)が産生されます。

この毒素が神経伝達物質であるアセチルコリンに作用して、神経と筋肉の伝達を遮断するため、麻痺症状を起こします。

自然界に存在する毒素では最も強毒で、ふぐ毒の1,000倍以上であると云われています。
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熱に強いボツリヌス菌芽胞

ボツリヌス菌は耐熱性の芽胞を形成しますが、ボツリヌス菌の型により熱抵抗性が異なります。

タンパク分解性のA型菌やB型菌芽胞は熱抵抗性が高く、121℃、4分以上の加熱でなければ死滅しません。

E型菌は熱抵抗性が弱く80℃、10分で死滅します。

十分な警戒が必要です。

日本においては、ボツリヌス症は、四類感染症に指定され、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出ることが義務づけられています。

ボツリヌス症の症状

ボツリヌス症は、食品中でボツリヌス菌が増えたときにつくられたボツリヌス毒素を食品とともに摂取したことにより発生する食餌性ボツリヌス症、

1歳未満の乳児に発生する乳児ボツリヌス症、創傷ボツリヌス症、成人腸管定着ボツリヌス症の4つに分類され、いずれも死亡を含む重篤な症状に陥ることがあります。
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下痢からすぐに便秘、神経症状

原因となる食品を食べてから、8~36時間後に発症します。病状の進行は数時間から数日にわたることもあります。

消化管症状(嘔吐、腹痛、下痢等)を発生することもありますが、すぐにこれらの症状は便秘となります。

筋力低下、神経症状(視力障害、呼吸困難など)などきわめて特有な症状がでます。乳児ボツリヌス症では3〜30日間で症状がでます。

ボツリヌス菌食中毒の実際例

原因食品はボツリヌス菌は缶詰、ビン詰、真空包装食品、発酵食品、レトルト類似食品が原因となります。

酸素が少ない状態で増えるため、過去にはからし蓮根、いずしで起こしています。

また常温で保管しているハム類などは発生しやすいので保管には充分に注意して下さい。

①鰊(にしん)のいずし
国内でのボツリヌス菌食中毒の発見は遅く、1951年に北海道の岩内町で魚介類の発酵食品のいずしが原因でボツリヌス食中毒の発生により、14名が発症、内4名が死亡した事件が最初です。

こうしたボツリヌス菌食中毒は1951年から2012年までに120事例報告され、うち104事例(86.7%)は魚介類の発酵食品であるいずしを原因としたE型菌です。

原因食品はパックされた加熱食品や缶詰が4事例、輸入品が2事例で、残念ながらほとんどの事例は原因食品が明確にされていません。

ところが、近年になり、真空包装食品や缶詰によるA型ボツリヌス菌による集団例や散発的な発生が多発してきました。

②からし蓮根
1984年6月下旬から,「からし蓮根」を原因食とする「ボツリヌス中毒患者」が九州地区をはじめ,京都,島根,岐阜,東京,愛知,千葉,広島,徳島,愛媛の各県で広範囲に発生し,11名の死者を出すという食品衛生関係者には全く大きなショックの事件が発生した。
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下痢にならないためのボツリヌス菌食中毒予防法

・容器が膨らんでいる缶詰、びん詰、真空パック食品などは食べません。

・外観が真空パックに似ていても、常温保存できない食品があります。保存方法(保存温度)の表示を必ず確認ください。

・1歳未満の乳児は、乳児ボツリヌス症を起こすことがあるハチミツ、コーンシロップは絶対に避けてください。

・ボツリヌス菌の芽胞が死滅するには120℃、4分以上の加熱が必要です。

・ボツリヌス菌が増殖する可能性のある食品は10℃以下の低温保存をして下さい。

レトルトパウチで包装された食品は、必ずしも上記の容器包装詰加圧加熱殺菌食品とは限りません。

近年、ボツリヌス菌食中毒の発生例が多い容器包装食品は、ボツリヌス菌の増殖が可能な食品が多く含まれています。

なぜなら、食品のpHが4.6以上、水分活性が0.94以上であって、ボツリヌス菌芽胞が死滅する120℃、4分以上の加熱が施されていない容器包装に密封した食品

(レトルト食品類似の真空包装食品)はボツリヌス菌芽胞が生残している可能性が高く、嫌気環境であるためにボツリヌス菌の増殖の危険性が高くなるからです。
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腸内環境を強化しよう

「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。

腸内では有害なものをいち早く排出したりする働きがあります。

そのお蔭で私達は健康的にすごすことができています。例え食中毒菌が体内に入ってきても、そこで増殖しなければ、発病しなくても済みます。

いかに腸内環境を大事にしなければならないかがわかります。

おなかが敏感な方、弱い方はぜひ腸内環境を強化してください。

腸内環境を強化するサプリメントがありますので上手に利用しましょう。
下痢の改善は一段と早くなります。