下痢の原因・薬剤

下痢の原因は抗生物質などの薬剤

下痢の原因は様々です。体質、食事、環境、生活習慣などで腸内環境が乱れることが大きな要因です。その中の一つに薬剤があります。原因となる薬剤が分かればすぐに中止するなどすると、下痢が治まります。

例えば抗生物質を投与されますが、抗生物質が原因で下痢になることは多々あります。でも、薬を止めれば、もとにもどりますね。こうした下痢になる薬剤は抗生物質だけではなく、抗がん剤や他の薬剤も下痢の原因として挙げられていています。ここではこうした薬剤がどのように下痢の原因となっているのか見てみましょう。

抗生物質による下痢の原因

抗生物質は腸の中にいる善玉菌も殺してしまうため、服用することによって腸内細菌バランスが崩れることがあります。そして、その結果発症してしまう病気を総称して菌交代症といいます。
正常な腸内細菌のバランスが崩れると、ある種の菌が異常に増え、その産生毒素により腸管粘膜を傷害されることで発症します。抗生物質開始後、5~10日後に始まることが多いです。 代表的なものに、クロストリジウム・ディフィシル感染症、抗生物質起因性出血性大腸炎、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌腸炎などがあります。

●クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)

CDIは クロストリジウム・ディフィシル感染症を表す英語“Clostridium difficile infection” の略です。病名から推測できるとおり、CDIはクロストリジウム・ディフィシルという細菌が腸内で異常増殖することが原因です。 この細菌は芽胞(がほう)と呼ばれるバリアを体の周りに形成するという特徴があります。この芽胞があるため、クロストリジウム・ディフィシルは、抗生物質や消毒用アルコールが存在する環境下でも殺菌されることなく、じっと耐えることができます。 そして、抗生物質がなくなると再び活発に活動をし始めるのです。バンコマイシンやメトロニダゾールを用いた治療法でもあまり効果がないのは、同じように芽胞を作ってじっと耐えているからです。 この細菌はトキシンAとトキシンBと呼ばれる2つの毒素を産生します。これらの毒素が腸管内の細胞に作用して、細胞死を誘発したり、大腸粘膜を傷害したりすることが知られています。

①CDIの症状と発生状況

手術後の抵抗力が落ちている時や、免疫抑制剤という種類の薬を使用している場合に、抗生物質を服用するとCDI を発症することがあります。複数の抗生物質を使用していたり、多種類の細菌に効く抗生物質を使用していたりすると、CDI の発症リスクが上がると考えられています。

②症状として

主な症状は下痢、粘性のある便、吐き気、発熱などがあります。また、偽膜(ぎまく)と呼ばれる、黄白色の斑点が大腸内に広がることがあります。これを偽膜性大腸炎と呼びます。 偽膜性大腸炎となった場合はかなり重症化しています。そして、腸壁に穴が空く「腸管穿孔」を引き起こすこともあります。また、敗血症や髄膜炎を引き起こして、最悪の場合は死に至ります。
実際にアメリカでは、毎年約50万人がCDI を患い、3~5万人が亡くなっているため、大きな問題となっています。

また、「手術後の抗生物質使用」や「免疫抑制剤と抗生物質との併用」が主な発症原因となるため、ほとんどのCDI 患者は入院中に発症します。外来患者で発症することもありますが、入院患者と比べると発生頻度は極端に低いです。そのため、院内感染にも注意が必要となります。 治療には、細菌の細胞壁合成を阻害する「バンコマイシン」という抗生物質や、細菌のDNAを傷害する「メトロニダゾール」という抗生物質が使用されます。しかし、満足な治療効果があるとは言いがたい状況です。

下痢を引き起こす細菌感染の怖さ

細菌は細胞壁というものを作って、自分たちの体の周りを囲っています。この細胞壁を作れないと細菌は生育することができません。さらに、一時的に治癒したように見えても、すぐに再発してしまうという特徴があるため、患者のみならず多くの医療関係者を悩ませる深刻な病気です。 深刻な状態を引き起こすCDI ですが、その原因菌とそれが作り出す毒素については明らかにされていないようです。新しい治療法が開発されているのは事実ですが、重症化を防ぐことがなにより重要です。

慢性水様性下痢の原因

慢性水様性下痢の原因の原因として、顕微鏡的大腸炎があります。内視鏡検査では肉眼的に大腸粘膜の異常は見られませんが、病理組織学的には大腸粘膜の下にコラーゲンバンド(膠原線維帯)の肥厚(ひこう:肥えたりはれたりして厚くなること)を特徴とする疾患があるようです。発症の原因はいまだ不明ですが、薬剤の関与が報告ほうこうされており、非ステロイド性抗炎症薬、プロトンポンプ阻害剤、H2需要拮抗薬などが挙げられています。

下痢を改善するための腸内環境

腸内には100兆100種類の様々な菌が存在します。中でも善玉菌と呼ばれる菌が多ければ腸内環境は正常に保たれ、様々な病気から守ってくれる免疫力を強化します。薬剤による腸内環境が劣化しそうな時でも、善玉菌が多ければ、有害なものを排除したり、抑制したりできます。 結果、重篤な場合に陥らなくて済みます。日頃から腸内環境を強化しておくことは非常に大切な事と言えます。腸内環境整えるサプリメントがありますので、上手に利用しましょう。

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