下痢の原因・初期の熱中症

下痢の原因・熱中症
梅雨の晴れ間や、梅雨が明けてすぐ、しばらく涼しい日が続いた後急激に暑くなると、熱中症にかかりやすくなります。

熱中症の初期症状には下痢になる事もあります。しかし、その初期症状を見逃してしまうと、命を失う可能性もあり、とても危険です。

目次
・下痢の原因は初期の熱中症状  ・下痢による熱中症初期症状の実際例  ・初期症状に下痢が起こるメカニズム  ・下痢以外の初期症状  ・熱中症が起こる時や場所  ・熱中症初期、Ⅰ度(軽度)の場合 ・熱中症Ⅱ度(中度)の場合 ・熱中症Ⅲ度(重症)の場合 ・腸内環境を整えよう

下痢の原因は初期の熱中症状

熱中症で下痢になることはあるの?下痢をしている時に自分が熱中症だと思う人はいないのでは?と疑問を持たれる方は多いと思います。

しかし、熱中症の初期症状の一つに下痢があるのです。

少し緩いくらいの軟便だけでなく、水っぽい下痢が出ることもあります。

実際に真夏日に下痢で救急病院を受診する方が熱中症と診断されることがあるのです。

熱中症で下痢になる原因には、汗をたくさんかいて、その後に水分をたくさん摂る時に起こります。

拭いても、拭いても汗が止まらないという時には熱中症の初期の症状であることが考えられます。


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下痢による熱中症初期症状の実際例

50代の女性の方が、「ここ数日、全然食欲がなく、昨日からは下痢で、おなかを壊している。

なにか古いものや生ものは食べていないし、夜は寝苦しくて、朝起きると汗びっしょりかいている。

クーラーはつけていなかったし、立ちくらみも最近特にひどい」と症状を訴えたところ、熱中症だとわかりました。

熱中症は、炎天下の運動だけで起こるわけではありません。

暑い日に一気に熱中症になることもあれば、何日かかけてじわじわ熱中症になることもあります。

ずっと屋内にいても、閉めきった部屋で冷房もなくすごしていると熱中症になってしまいます。

寝ている間は水分補給ができませんから、10時間近く汗だけをかきながら、一滴も水分をとらないという状況は体に良くないことは、お分かりだと思います。

クーラーの使い過ぎは体によくありませんが、体が冷えすぎないように注意しつつ適切に冷房を使用することは、体を守るためにも大切なことです。
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初期症状に下痢が起こるメカニズム

熱中症にかからないようにと水分を摂ることは良いのですが、電解質が含まれていない真水ばかりを摂ると身体の中のナトリウムの濃度が薄まるため、塩分濃度を維持するために尿量や便への水分量を増やして体外に排出させようとします。

このメカニズムによって下痢が起こると考えられています。

また、一気に水分補給をすると、腸で水分を吸収しきれずに便が水っぽくなるといったことが考えられます。

特に冷たい飲み物を大量に飲む時にも下痢になります。
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初期症状の下痢のポイント

熱中症の初期症状に下痢はないのではと思いがちですが、知らないと診断や対処が送れてしまいがちになり、手遅れになる場合があります。

たかが下痢だと思い、ちょっとだるいだけなので、横になっていれば大丈夫だと思い込み、そのまま見過ごしていると、知らない間に意識不明になる場合があります。

家の中に誰もいない場合は特に危険です。

いつもより体がなんかおかしいと思ったら、高齢者の方は迷わず受診してみましょう。

熱中症の場合があるのです。
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下痢以外にも様々な初期症状

熱中症は、体温が上がって体中の機能がうまく働かなくなってしまう状態です。

熱中症は体温だけの問題ではなくて、脳から胃腸、肝臓、腎臓など、あらゆる内臓に影響をおよぼす病気です。

そのため、下痢以外にも次のようなさまざまな症状が現れます。

熱中症が起こる時や場所

気温の高い環境にいると体温を調節する機能が狂ったり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたりする時に起こります。

「環境」と「からだ」の要因が重なったときに熱中症が起こりやすくなると考えられています。

注意が必要な場所は、運動場、公園、海やプールなど、強い日差しが当たる屋外や、駐車場に止めた車の中、体育館、気密性の高いビルやマンションの最上階など。

浴室やトイレ、寝
室など、家庭内の風通しの悪い室内でも起こりやすくなります。

環境の要因として
気温や湿度が高い
・風が弱い
・日差しが強い、など

からだの状態の時は
・激しい運動などにより体内でたくさん熱が産生された
・暑さにからだが慣れていない
・疲れや寝不足、病気などで体調がよくない

熱中症は熱が放出されず体内にこもることで症状が起こる

体温調節機能の乱れや、体内の水分が失われることが原因に運動や作業をすると私たちのからだの中で熱が生まれます。

ただし、人間のからだには体温調節機能が備わっているため、体温が上がり過ぎたときには、自律神経の働きによって末梢の血管が拡張し、皮膚に多くの血液が流れ込むことで熱をからだの外に放出します。

同時に、体温が上がったら汗をかき、その汗が蒸発するときにからだの表面から熱を奪うことで、上がった体温を下げようと働きます。

ところが、あまりに暑い環境に長くいると、体温調節機能が乱れて体外への熱の放出ができなくなり、体内に熱がこもって体温が上昇します。

また、急激に大量の汗をかくと、体内の水分と塩分が失われ、体液のバランスが崩れてしまいます。

それが筋肉や血流、神経などからだのさまざまな部分に影響をおよぼすと、下痢、けいれんやめまい、失神、頭痛、吐き気といった熱中症の症状があらわれるのです。
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下痢が起こる熱中症初期、Ⅰ度(軽度)の場合

下痢、軽いだるさ、めまい失神がある時にはまずは応急処置をして下さい。

●涼しい場所へ移動して、体を冷やします。首や脇の下、太股の付け根など、太い血管がある部分を冷やすと効果的です。

水分と塩分補給をします。スポーツドリンクと、塩分の多い梅干しおにぎりが適していますが、食欲がない時には食塩を手のひらに出してなめるだけでも効果があります。

●横になって体を十分に休めます。

下痢そのものの治療はあまり必要なく、このような水分・塩分補給をして体を休ませているうちに、自然と治ってきます。
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ぐったりする熱中症Ⅱ度(中度)の場合

頭痛、気分の不快、吐き気、倦怠感、虚脱感、体がぐったりするなどの症状がある場は病院の受診が必要です。

嘔吐、頭痛、集中力の低下は熱中症の強い症状です。

●従来から熱疲労、熱疲弊と言われていた状態です。

●応急処置は悪くないのですが、病院の受診が遅れるくらいであれば、先に受診してしまうことをお勧めします。

内科か救急科、小児科が適切ですが、あまりこだわる必要はありません。

熱中症Ⅱ度(中度)の原因

熱中症のⅠ度(軽度)と同様にⅡ度(中度)も同じです。暑いところで体温が上昇すると、放熱のために皮膚血管を拡張して皮膚への血流量を増やし皮膚温を上昇させます。

立ったままの姿勢を持続していると血液が下肢に貯まり、脳への血流が減少するため、一過性の意識消失(失神発作)いわゆる熱失神[heat syncope]をおこします。

また、暑いところでたくさん汗をかいた時には水分だけでなく電解質も喪失しますので、真水や塩分濃度の低い飲料を補給すると、血液中の塩分濃度が低下し痛みを伴う筋肉のけいれん(熱けいれん)が起きます。

さらに、血液が皮膚表面に貯留することに加えて、仕事や運動のために筋肉への血液の供給が増え、心臓に戻る血液が少なくなり、心拍出量の減少で循環血液量が減少し、重要臓器(脳など)および内臓への血流が減少することにより、めまい、頭痛、吐き気などの全身性の症状をともなうことがあります。

これが、高度の脱水と循環不全により生じる熱疲労です。体温は正常もしくは少し上昇しますが、40℃を超えることはありません。

軽度の錯乱などがみられることはありますが、昏睡などの高度な意識障害はみられません。
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意識がなくなる熱中症Ⅲ度(重症)の場合

熱疲労が中核的病態ですが、脱水と循環不全がさらに増悪すると、発汗と皮膚血管拡張ができなくなり、体温が過度(40℃以上)に上昇し、脳を含む重要臓器の機能が障害され、体温調節不全、意識障害に至る熱射病になります。命にかかわります。

一刻も早く救急車を呼び病院へ連れて行きましょう。

●意識障害は診断に重要で、重症の昏睡状態になる。応答が鈍い(自分の名前が言えないなど)、何となく言動がおかしい、日時や場所がわからないなどの軽いものもあるので注意が必要です。

●一旦、熱射病を発症すると、迅速適切な救急救命処置を行っても救命できないことがあるため、熱疲労から熱射病への進展を予防することが重要です。

●仕事や運動時には条件(運動強度、体調、衣服、高温等)によって
短時間で発症する
ことがありますので
注意が必要です。

熱中症Ⅲ度の原因

熱中症Ⅲ度の場合の原因としてはⅠ、Ⅱ度の場合と同様ですが、気が付かずにそのまま放置しているか、手遅れになる場合が原因です。

高齢者や乳幼児、運動習慣がない人、太っている人、体調がよくない人、暑さに慣れていない人などが熱中症にかかりやすいと言われています。

特に高齢者や乳幼児は、体温調節機能の衰えや未熟さによって体内に熱がこもりやすい(体温が上がりやすい)上、暑さを自覚しにくいこともあるため、リスクが高いといえます。

子どもは大人よりも身長が低く地面に近い分、アスファルトの照り返しなどによる熱の影響を受けやすくなることも要因のひとつです。

また、心臓病、糖尿病、高血圧、腎臓病、精神神経疾患、皮膚疾患などの持病も、体温調節機能の乱れの原因となることがあり、ハイリスク要因になります。

病気の治療のために薬を服用している場合も、薬の種類によって発汗の抑制や利尿作用があるものがあり、熱中症の原因になることがあります。

以下の表は熱中症の程度を3段階にまとめたものです。参考にして下さい。

腸内環境を整えよう

熱中症が悪化する原因として「腸内細菌毒素」が注目されています。腸内細菌は、悪玉菌が増えていると「腸内細菌毒素」と呼ばれる毒素を作り出します。

激しい運動をしたり、高温環境中では、全身に流れている血液が筋肉や皮膚に集中します。

そうすると、いつもは腸に流れている血液が急激に不足してしまい、腸の透過性が上がってしまいます。

つまり、病原菌や毒素が体内に入り込みやすい状態になるのです。そのため、「腸内細菌毒素」が熱中症の際に体内に入り込みやすくなり、様々な臓器に障害を起こしてしまうと考えられています。

高齢の方は悪玉菌が増加しているため、毒素が溜りやすい体質になっています。

また、若い方でも便秘が続いていると、毒素が外に出ていくことができません。

日常的なスポーツの際も、運動をすることで腸の状態は逆に悪化してしまうことがよくあります。

そのため、熱中症の予防とともに、腸の管理はとても大切なことなのです。年齢を重ねるにつれ、腸内善玉菌の数は減少します。

また、食生活の乱れや不規則な生活も、善玉菌を減らし、悪玉菌を増やしてしまいます。

腸内善玉菌が増えると、日々の健康管理、さらには猛暑に対抗できる体作り、下痢、ウイルスなどに負けないや丈夫な身体になれます。

腸内善玉菌を増やすサプリメントがありますので、上手に利用しましょう。