小腸内細菌異常増殖症

下痢の原因はSIBO(小腸内細菌異常増殖症)

下痢は、特に慢性的な下痢になると、その下痢の原因は多々あり、急性の下痢と違って、突き止めることはなかなか難しいものです。 慢性的な下痢の原因として、最近の研究では大腸ではなく、小腸に下痢の原因があることがわかりました。何となくお腹の調子が悪い方、 慢性的な下痢が続く方、過敏性腸症候群ではないと言われた方などは、小腸で細菌が異常増殖した可能性もありますので、疑ってみましょう。 では小腸で細菌が異常増殖するのはどんな時でしょうか。ご一緒に考えてみましょう。


目次
・原因は細菌の異常増殖  ・SIBOの症状  ・症状を引き起こす原因  ・SIBOの改善策  ・腸内環境を整えよう 

下痢の原因となる小腸での細菌の異常増殖

小腸で細菌が異常に増殖する事を小腸細菌異常増殖症(シーボ:Small Intestinal Bacterial Overgrowth)と言います。略してSIBO(シーボ)と言います。 SIBOは比較的新しい疾患概念で本来大腸に比べて細菌の少ない小腸内で細菌が異常増殖したことによる様々な不快な症状をまとめてSIBOと呼びます。 元来、小腸内は大腸内に比べて細菌の棲息数は非常に少なく、主に大腸内において私たちが食べたものを細菌が発酵させ、その際にガスを発生させますが、 SIBOでは小腸内に棲息する細菌がガスを発生させるために、食事の後比較的早期から様々な不快感を生じさせる原因となります。 SIBOになると下記のような症状が見られます。
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☆SIBOの症状

・お腹にガスがたまる・屁が多い・腹痛、差込み(疝痛)・便秘、下痢、脂肪便・吐き気、胸焼け・体重の減少・食物アレルギー・関節痛・慢性疲労・肌のトラブル・うつ、パニック症状 などが見られます。 その他SIBOの存在を疑う症状としてニキビ、湿疹、酒さアレルギー、慢性食物過敏症口臭、歯周病、ブレインフォグ(頭に霧がかかった様にボーッとする)、 痩せにくい、すぐに空腹感、栄養不足、皮膚の赤み陰部のかゆみ、滲出物体重減少などが挙げられます。 過敏性腸症候群(IBS)は比較的認知された疾患ですが、アメリカの調査では実にIBS患者の60%にSIBOを認めたと言いますから意外と多くの方がSIBOに悩まされていると考えられています。 慢性的な腹部の不調がある方でIBSと診断され、IBSの治療を受けてもなかなかよくならない場合はSIBOを疑ってみる必要があります。
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☆SIBOを起こす原因

・胃酸分泌低下
一般的に胃酸分泌は加齢により減少すると言われていますが、最近の研究では加齢ではなく、萎縮性胃炎と関係が深いのではないかと言われています。 ・小腸蠕動異常
小腸を食物が通過する時、蠕動運動、分節運動、振子運動が行われています。分節運動が一定時間続くと、次に蠕動運動が起こり、 蠕動運動が止むと分節運動が起きるというように、交互に運動をくり返しながら、毎秒2〜2.5cmの速さで内容物を移動させていきます。 小腸の分節運動によって内容物はさらに細かく砕かれ、消化液と十分に混ざり合います。また、内容物が絨毛と接触する機会も増え、毛細血管に取り込まれやすくなります。 この機能が異常になると食べ物が滞り、小腸で細菌が異常増殖する可能性があるのです。 ・回盲弁機能異常
小腸と大腸の境には回盲弁(カイモウ弁又はバウヒン弁)という弁があり、小腸から大腸には内容物が通りますが、逆流はできない仕組みになっています。 この弁の機能が異常になる事で発生します。 ・抗生物質
 抗生物質はヒトや動物の生命を脅かす感染症の治療に不可欠なものとなっていますが、腸内細菌のバランスが崩れてしまい、様々な病気の原因にもなっています。 ・制酸剤
制酸薬は、胃液の分泌亢こう進による胃酸過多や、それに伴う胸やけ、腹部の不快感、吐き気等の症状を緩和することを目的とする医薬品です。 ・ステロイド
ステロイドは非常に有効な薬なのですが、長期に使うと様々な副作用がでてきます。副作用は過去に使用した総量が多くなると発生します。 ・腹部手術の既往
通常、人間の内臓は外気に触れない状態で機能しています。腹部手術をすると、腸管閉塞の恐れがあり、SIBOの原因となる事があります。腸内細菌やなどのバランスが崩れ、腸の不調に陥ることがあります。 ・リーキーガット
リーキーとは英語で「液体などが漏れる」という意味を持ち、腸の粘膜に穴が空き、異物(菌・ウイルス・たんぱく質)が血管内に漏れだす状態にある腸」のことを指し、 腸のバリア機能に障害が起こることで様々な病気や不調を招いてしまいます。 ・カンジダ異常増殖
カンジダ菌は、お口の中に常在する真菌(カビ の仲間)です。加齢や免疫力の低下、糖分の多い食事や消化しやすい食事が過剰増殖の原因にもなっています。 カンジダ菌の増殖は消化管のトラブル、あるいは全身の免疫異常の誘因となります。 ・その他
栄養素の不足、アルコール、化学療法、便秘、クローン病秘、糖尿病、憩室症、低食物繊維、ピル、神経因性、短腸症候群、ストレス、糖質(過剰摂取)などが考えられています。 このSIBOは、残念ながら日本ではまだまだ認知度が低く、一般的には知られていませんので、病気専門医でもまだこの言葉を聞いたことのない方もいらっしゃいます。
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☆SIBOの改善策

様々な医学的な治療法がありますが食事や心の平安を持つことも改善策の一つです。 ①食事療法としての改善方法
SIBOの治療とその後のフォローには食事療法が重要です。中でも低FODMAP療法と呼ばれる発酵性の糖質を減らした食事が推奨されています。
現在日本の研究チームが日本人に適した低FODMAP療法に関して研究を進めています。その他、栄養素が消化吸収しやすい形に加工されている成分栄養剤なども使う場合もあります。 ②心理療法
SIBOの病因は腸内細菌の乱れですが、「脳腸相関」と言われるように、私たちがストレスを感じていると腸の蠕動や知覚に異常をきたすケースがあります。 心理療法も併用して行くことでより治療効果が高くなることが期待できます。
③腸内フローラ移植(糞便細菌叢移植)
SIBOに対する腸内フローラ移植に関する論文での報告数はまだ少なく、賛否両論あるところですが、腸内フローラ移植をすることで、大腸のみならず小腸内の細菌の種類、 バランスも変化すると考えらており、他の治療がなかなか効果が出ない場合などの治療の選択肢と考えられます。 下痢が続く原因は様々で多くの謎に包まれており、解決方法も様々ですが、慢性の下痢の多くはストレスからとよく言われます。
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腸内環境を整えよう

下痢の改善は何といっても腸内環境をしっかり整える事です。というのも、「元気の元は胃腸」からと昔から言われている通り、おなかの調子は良好で、下痢も便秘もありません。

腸内環境を整えるサプリメントがありますので上手に利用すると下痢の改善は一段と早くなります。

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