下痢の原因は胆汁酸

下痢の原因・・・胆汁酸が出過ぎて下痢に
下痢の原因は様々です。特に下痢の原因が分からなくて慢性的に下痢が続く場合、下痢は本人には極めて深刻なのに、周囲の人の理解を得にくいものです。また、医師からも「下痢の原因が命にかかわるものではない」と言われることが多いものです。

胆汁が下痢の原因

そうした中で、体質的なものが下痢の原因となっている場合があります。それは胆のうから分泌される消化液の胆汁が原因で食後の下痢を起こすタイプです。
胆汁自体は脂肪を分解する消化液で、通常は大腸に入る前に大部分が再吸収され、残りが便と一緒に排出されます。

胆汁の主成分である胆汁酸は茶色で、それが含まれているために便は茶色になるのですが、胆汁酸には大腸を動かし、腸液を分泌する作用があります。

ご飯を食べた後にすぐに便意がある場合は、食事の刺激で腸の神経が刺激されて便意が催される「胃直腸反射」という反応です。これは体に害の無い正常の生理現象です。

しかし、胆汁から分泌される胆汁酸に問題がある場合も食後に便意を催し、下痢になる人がいます。

これは、食事をすると消化のために胆のう内にためられた胆汁が十二指腸で分泌され、早ければ食後20~30分ほどで大腸に到達します。その為このタイプの下痢の人は食後すぐにあるいは食事中に便意を催すようになるのです。

食事をしなければ下痢をせず、食事をすると下痢になる人は、この胆汁性下痢型過敏性腸症候群の下痢の可能性があります。

胆汁の役割は

①脂肪の消化・吸収
脂肪は強力な胃酸をもってしても分解できず、そのまま小腸に入ってきます。胆汁の成分の1つ「胆汁酸」は界面活性剤として消化されにくい脂肪を乳化して小さい粒にします。

それにより分解酵素のリパーゼと反応しやすくなり、小腸から吸収されやすくなります。(ビタミンA、D、E、K、及び脂溶性ビタミンの吸収)消化酵素ではありませんが、脂肪の消化吸収に大切な役割をはたしています。

下痢の原因は胆のうに

②体内の不要な物の排泄

胆汁の働きにより、肝細胞で処理された薬剤や体内の余分な銅などが排泄されます。

胆汁酸が多すぎて下痢に

胆汁は肝臓で、1日に約600~800ミリリットル作られます。作られた胆汁はいったん胆嚢にたくわえられ、食べた物が胃から十二指腸に運ばれると、そこに胆汁が送り込まれます。

脂肪の消化を助ける働きをする胆汁は小腸の入り口で分泌され、小腸の末端部で吸収されます。本来の仕事は十二指腸~小腸で終った後、再度吸収されて肝臓に戻るのですが、何らかの理由でこの胆汁が戻れずに大腸に流れてしまうと、糖の時と同じく薄めようとして大腸は水を出します。

下痢が続く原因

その結果、水浸しになった大腸は下剤と同様の作用をしてしまい、下痢を引き起こしてしまうのです。殆どの人は、胆汁が分泌されても問題は起こりませんが、下痢になる人は大腸に届く胆汁の量が多いのか、胆汁に敏感な人のようです。

食事をすると下痢になる人は、ラーメンやトンカツなど油っぽいものを食べたからかなとか、食事が合わなかったからではないだろうかと考えがちですが、胆汁性下痢型過敏性腸症候群の場合は状況が異なります。

確かに、胆汁は脂質やたんぱく質の多い食事で分泌されやすいですし、糖質だけを食べた場合は胆汁が分泌されにくいため下痢は起こりにくいのですが、いづれにしても食べると胆汁は出ますから食事の内容に関わらず、胆汁性下痢型の人は下痢が起こってしまうのです。

虫垂炎の手術の合併症として胆汁型下痢症に

胆汁型下痢症の人は総人口の1%くらい存在しているようです。過敏性腸症候群の方は国民の約1割、1000万人もいると推定されています。

その中でも胆汁型下痢症の方は少ないようです。以前は虫垂炎の手術の合併症として、頻繁に起きていました。虫垂を切除する時に小腸の一部をまで一緒に切除されると、胆汁が再吸収されなくなり、大腸に胆汁が届きやすくなり下痢を起こしていたのです。
しかし、現代では医学も進歩し、虫垂炎を手術することが少なくなり、胆汁性下痢人口は少なくなってきています。

胆汁が大腸に流れ込む原因

•繰り返しの食あたりや感染症で小腸が炎症をおこし、機能が落ちている。
•過去に盲腸などの手術で小腸を切っている。
•手術で胆嚢を摘出した。
•前の晩に食べ過ぎて胆汁がたくさん作られるため(胆汁は夜の間に胆のうに蓄えられる)

胆汁による下痢の見分け方

■その日の最初の食事の後、1~2時間後に下痢が起こる。
■腹部に強い痛みはない
■便を出してしまった後は 症状が回復する
■下痢止めの薬が効かない
■ストレス性の下痢ではないと思う
というような特徴がある場合は胆汁による下痢を疑って下さい。

胆汁による下痢対策

■対策は、朝食・夕食の量を減らして腸への刺激を抑える
■通勤時などでピンチになる場合は食事の時間を早めたりする
■トイレのない場所に行くときは食事を控えたりする
■病院の治療薬(胆汁を吸着するコレステロールの薬など)で解決できる

腸内環境を強化しよう

「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。また現代では殆どの病気の9割は腸からきていると言われるほど、腸内環境はとても重要な位置を占めています。

腸内環境を強化するには腸内細菌の善玉菌が重要な鍵を担っています。人によって腸内細菌は異なります。腸内の機能が正常になれば自然と下痢は改善します。それでどんな腸内細菌が良いかはわかりませんの、自分に適した腸内細菌がおなかに必ずいるはずですので、自分に合った腸内細菌を増やすサプリメントがありますので、上手に利用しましょう。下痢の改善は一段と早くなります。