下痢の原因はノロウイルス

下痢の原因はこれからのノロウイルス

夏が終わり、秋が深まるにつれて、インフルエンザウイルスをはじめ様々なウイルスも活動し始めます。

中でも下痢の原因となるノロウイルスの流行は晩秋から増加し始め、12月にピークとなります。

新型コロナウイルスでも大変な時なのに、こうした状況では、自分に罹ったのは何のウイルスなのか破天荒な冬を迎えなければならなくなります。お腹が敏感な人、弱い人には困ったものです。

ノロウイルスの感染力は強く、感染しても症状が出ない場合や軽症で済む場合もある一方で、体力が弱っている小さなお子さん、ご高齢の方の場合は、重症化する場合があります。

ありふれた病気ですが、たかが脱水症だと軽視すると、非常に危険な状態に陥ることも少なくありませんので、十分な注意が必要です。

実例として、8月28日に埼玉県の老舗和菓子屋の「いちご大福」を食べ、ノロウイルスによる食中毒が発生したの報告があります。

「いちご大福」を食べたた30人のうち25人が、24日午前11時ごろからおう吐や下痢、発熱などの症状を訴え、患者13人と製造従事者2人の便からノロウイルスが検出されそうです。

下痢になる3大感染症のノロウイルス

ノロウイルスは冬にかかりやすい3大感染症(ノロウイルス、インフルエンザ、RSウイルス)の中一つです。

これらの感染症は、毎年秋ごろから春先にかけて流行することが多く「冬の3大感染症」とも呼ばれています。

冬の3大感染症は、子どもだけではなく大人にも感染する病気です。

親子で感染しますので、家庭内での感染を防ぐためにも、症状や感染経路、対処方法を把握しておきましょう。

①インフルエンザ

毎年冬に大流行するインフルエンザは、「インフルエンザウイルス」に感染することによって起こる病気です。例年12〜2月頃に流行のピークを迎えることが多く、38℃以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感といった全身症状のほか、のどの痛み、鼻水、咳など風邪と同じような症状もみられます。

通常の風邪と比べて急激に強い症状があらわれることが特徴です。


インフルエンザの治療には、多くの場合、タミフルやリレンザといった抗インフルエンザウイルス薬が使われます。適切な時期(発症から48時間以内)に薬の服用を開始すると、発熱期間は通常1~2日間ほど短くなり、鼻やのどから排出されるウイルスの量も減少します。

インフルエンザの疑いがあるときは病院で診察して、医師に処方された薬を正しく使うことが大切です。

いずれの感染症も、夜間に症状が出た場合、多くは翌日を待ってからの受診で大丈夫です。

ただし、脱水症状や呼吸困難など気になる症状が見られる場合は救急外来を受診しましょう。

②RSウイルス

RSウイルス感染症は、RSウイルスによる呼吸器の感染症です。日本を含め世界中に分布するウイルスで、生後1歳までに半数以上、2歳までにほぼ100%の子どもが少なくとも一度は感染します。

感染後4~6日間の潜伏期間を経て発症し、発熱、鼻水や咳など軽い症状で済むことが大半ですが、初めて感染発症した場合や乳幼児は症状が重くなりやすく、ひどい咳やゼーゼーという呼吸音、呼吸困難などの症状があらわれることがあるため注意が必要です。

③冬に増える感染症「ノロウイルス」

ノロウイルスは、感染性胃腸炎や食中毒の原因となるウイルスです。毎年11〜2月頃に流行することがほとんどですが、一年を通しても発生しています。

厚生労働省の発表によると、2017年に発生した食中毒のうちノロウイルスを原因とするものは、51.6%と半数以上にもなります。

ノロウイルスは感染力がとても強く、10〜100個と少量のウイルスでも感染するため集団感染が起きやすいことが特徴です。

ウイルスの潜伏期間は24~48時間で、主な症状は、吐き気や突然のおう吐、下痢、腹痛です。一般的に発熱は軽度です。

通常このような症状が1~2日続いた後、回復に向かいます。

インフルエンザ、RSウイルスの主な感染経路
インフルエンザやRSウイルスの感染経路には、「飛まつ感染」「接触感染」があります。

飛まつ感染とは、感染した人が咳やくしゃみをしたときに飛まつ(しぶき)に含まれて放出されたウイルスを、近くにいる人が鼻や口から吸い込んでしまい感染することです。

「接触感染」は、感染している人と直接接触したりウイルスが付いたものに触れることで間接的に感染することをいいます。

たとえば、感染者が咳やくしゃみをおさえた手でドアノブやスイッチなどをさわった後、その場所に別の人が触れ、さらにその手で自分の鼻や口をさわることによってウイルスに感染してしまうのです。

ノロウイルスの主な感染経路

①感染した人の排泄物やおう吐物などから人の手を介して感染

②感染者の咳やくしゃみなどから感染

③飲食店や家庭で調理をする人がノロウイルスに感染しており、その人の手や調理
器具を介してウイルスに汚染された食品を食べてから感染

④汚染された二枚貝を生あるいは十分に加熱調理しないで食べて感染

⑤汚染された井戸水や簡易水道を消毒が不十分な状態で摂取して感染

①②はウイルス性急性胃腸炎の原因に、③④⑤はウイルス性食中毒の原因になります。

④の二枚貝は、流行期に生で食べることの多いカキのほか、ハマグリ、アサリ、シジミ、ムール貝などからも感染しますので注意が必要です。

家庭でのケアと受診のポイント

ノロウイルスやRSウイルスには根本的な治療薬がないため、治療は対症療法が行われます。

おう吐や下痢などの症状があるときは体から多くの水分が失われるため、脱水症にならないように水分と塩分を十分に補給しましょう。

下痢止めの薬はウイルスの体外排出を遅らせることがあるので使用しないようにしましょう。

また、嘔吐の後は脱水症を防ぐために、経口補水療法を行う事をお勧めします。

経口補水液をスプーン1杯ずつ、5分ほどの間隔をあけながらゆっくりと水分摂取をする事が重要です。

経口補水液は市販でもOS-1という商品が販売されていますが、自宅で作ることもできます。

ノロウイルスの二次感染を防ぐために

感染者の排泄物やおう吐物には大量のウイルスが含まれています。

子どもの便やおう吐物などを処理したときにうっかり感染してしまうことのないよう、以下のことに気をつけましょう。

汚物を処理するときは、マスクや手袋を着用して直接ふれない

ノロウイルスは消毒用アルコールに強いので、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度約200ppm)またはこれを含む塩素系漂白剤で拭き、その後に水拭きする

処理に使ったぞうきんやタオル、マスク、手袋は袋に入れ、密閉して捨てる

処理後は流水でしっかり手を洗う

3大感染症の予防(ノロ、RS、インフル)

●ノロウイルス、RSウイルスの予防
ノロウイルスやRSウイルスには有効なワクチンはありません。

手洗いやうがいを徹底する、流行期にはマスクを着用する、規則正しい生活を送るといった、基本的な感染症予防を心がけることが必要です。

また、二次感染を防ぐために感染した人が使ったタオルなどを共用しないように気をつけましょう。

天然の二枚貝によるノロウイルスの感染を防ぐためには、中まで十分に熱を通すことが重要です。
中心部を85〜90℃で90秒以上加熱してから食べましょう。

インフルエンザはウイルスの増殖をおさえる抗ウイルス薬がありますが、残念ながら、新型コロナウイルス同様に、ノロウイルスを事前に予防できるような有効なワクチンはありません。

特効薬というものはなく、あくまでも吐き気や腹痛、下痢などの症状をおさえる対症療法が基本です。

●インフルエンザの予防
インフルエンザの最も有効な予防方法はワクチンの接種です。発症を防ぐとともに、発症した場合も重症化を防ぐことができます。

小さな子どもの場合は、まれにインフルエンザから急性脳症を起こして命にかかわるケースもあるので、安心のためにも予防接種を受けておくことが大切です。

腸内細菌がノロウイルスを捕まえて除去

毎年多くの胃腸炎患者を発生させえるノロウイルスは、その感染経路が完全には解明されておらず、感染拡大を防ぐ有効な手だてを構築できない状態にあります。まさに新型コロナウイルスと同じです。

ところが、北大の佐野大輔准教授らの研究チームは、「人の便の中から、小腸の糖鎖とよく似た糖鎖を表面に持つ腸内細菌を発見した。

この細菌を培養してウイルスと混ぜたところ、条件が整えば細菌一つで1万個以上のウイルスを吸着し、細菌ごと除去できることが分かった。

この細菌は、人の腸内でよくみられる菌で、ノロウイルスに感染した時に症状を軽くしている可能性がある。」と発表しています。

腸内細菌の偉大な力

新型コロナウイルスの発病も腸内細菌が握っていると言われています。腸内には善玉菌、悪玉菌、日和見菌がいますが、悪玉菌が増えると日和見菌は悪玉菌に変わり、体に悪さをします。

日和見菌の一つ、プレボテラ細菌は新型コロナウイルスに感染すると悪玉菌に変化し、炎症や、血栓を作るなどして呼吸困難を引き起こすと言われています。

腸内善玉菌が多い良好な腸内環境ではプレボテラ細菌が悪玉菌に変わり、悪さをすることはないでしょう。

ノロも新型コロナも罹ったとしても症状の軽い、無症状の人もいます。

このことは腸内細菌が大いに関係していると思わざるを得ません。

まさに腸内細菌の偉大な力は、随所発揮され、私達の健康を守っていることがわかります。

しかし、腸内細菌は日々変化します。腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌と大きく分けて3種類ですが、この割合が問題なのです。

善玉菌2、悪玉菌1、日和見菌7と理想的なバランスを保つことが重要なのです。

日和見菌は善玉菌が優勢の時は善玉菌を応援しますが、悪玉菌が優勢の時は悪玉菌を加勢して、体に害を及ぼします。

ですから、日頃から善玉菌が多い腸内環境になるために食生活、運動、睡眠など生活習慣に気をつけましょう。

腸内環境を整えよう

「元気の元は胃腸から」と昔から言われています私達の体内にいる腸内細菌を大事に育てることが健康の秘訣です。

弱っているなら応援してあげましょう。ウイルス対策に欠かせない腸内善玉菌をしっかり育てましょう。

腸内善玉菌を増やすサプリメントがありますので、必要な方はぜひご利用ください。