下痢の原因はワサビ

下痢の原因はワサビ

下痢の原因は様々ですが、食習慣からも下痢の原因となる事があります。

ハーブは料理のスパイスやお茶、保存料など様々な形で私達の生活の中に根付いています。古代エジプトでは、ミイラの防腐剤として使われていたという記録も残っているほど、人間との関わりの深い植物です。しかし、ハーブは使い方を間違えると下痢にもなる植物です。

今回は、日本のハーブ、ワサビが下痢の原因となる理由についご紹介します。

日本の代表的なハーブ「ワサビ」とは

ワサビはオリエンタルハーブの代表と言っても過言ではありません。鼻腔にツーンとくるあの刺激は他のハーブには見られないワサビ特有のものです。

ワサビには、カリウムやカルシウムといったミネラル類や、ビタミンC、ビタミンB1などのビタミン類も含まれています。特有の辛味はアリルイソチオシアネートという成分で、辛子にも含まれている成分です。

ワサビは古くから日本の山間部で自生し、江戸時代には本格的な栽培も始まりました。ワサビが自生しているのは水温が比較的低い清らかな水が流れる山間の渓流地です。

それも北向きで一年を通じて気候の大きな変化の無い安定した環境という条件も付き、立派なワサビに育つには2~3年かかります。このように栽培条件が制限され、収穫までに長い年月がかかるスパイスです。

このようにワサビは限られた自然条件の中でしか育たない、大変デリケートな植物ですので、今でも高価なスパイスというイメージがあります。それで昔は将軍や貴人の食卓に欠かせない食材でした。

ワサビの種類

日本でワサビとして使われている植物は大きく2種類あります。ひとつは、古くから日本に自生するワサビです。もうひとつのものと区別して本ワサビと呼ばれます。本ワサビといえば水耕栽培というイメージがありますが、実は土耕栽培でも育てることが可能です。

本ワサビは、水耕栽培で育てられたものを水ワサビ、土耕栽培で育てたものを畑ワサビ、と栽培方法による違いで呼び分けられることもあります。

もうひとつは、ローストビーフやステーキ、肉料理のソース作りなどに利用されるホースラディッシュと呼ばれるスパイスです。

ホースラディッシュは、日本にはアメリカから伝わり、北海道で栽培され現在でも川沿いの湿地などに自生しています。本ワサビと区別して西洋ワサビやワサビ大根などと呼ばれ、粉ワサビ、ねりワサビの原料としても使われています。

ワサビの食べる部分は

寿司などに使われているおろしワサビは、ごつごつした円柱形の根茎の部分をすりおろしたものです。この根茎から上に見ていくと、葉柄という葉を支えている部分が伸び、その先にハート形の大きな葉が付いています。

葉柄ととともに花茎が上に伸びその先に、冬から初夏にかけ小さな十字状の白い花を咲かせます。その可憐な色形から、刺激のある辛さを想像できません。

おろしワサビは根茎をすりおろして食べますが、日本では茎や葉、花も料理して食べます。葉や茎は日本ではおなじみのワサビ漬けによく使われますし、刻んで和え物やスープのトッピングに使われます。

ワサビの辛さの正体は?

舌で感じるヒリヒリ、ピリッとした唐辛子やこしょうを食べた時に感じる辛さとは異なり、ワサビは鼻に抜けるツーンとした辛さが特徴です。

これはワサビの辛み成分がアリル芥子油と呼ばれる揮発性成分によるものですが、この辛み成分はワサビをすりおろすなどして細胞が壊されたときに、細胞中の辛みの元(シニグリン)に水と酵素(ミロシナーゼ)が作用して生み出されます。

これには鮫皮おろしが最適なのです。金物のおろし器でもいいのですが、いったん鮫皮おろしを使うと、まったく味が違うことに気づかれます。

江戸の昔、宮大工が木の表面加工に使っていた鮫皮を、木の板に打ち付けてワサビをすったのが始まりの様です。
ザラザラとした鮫皮は驚くことに人間の歯と同じ固いエナメル質で、「の」の字を書くように円を描いてゆるゆるおろしていくと、徐々にワサビは空気をたっぷり含んで、ふわっとしたおろしワサビとなります。こうしてできる鮫皮おろしのおろしワサビは、きめ細やかでとってもクリーミーです。

香りも極上なうえ、刺し身に添えいただくとまろやかな甘味が感じられ、その後にすっとした辛味が鼻に抜けていきます。

これは、鮫皮でおろすことによって、酵素(ミロシナーゼ)が良く働き風味や辛みを多く出すことができるからです。 ワサビの辛さは揮発性が高いため、しばらく置いておくと辛さが弱くなり、香りも変わっていきます。

ワサビ特有の辛さ、香りは大きな魅力で、食欲を増進させてくれる食品の一つです。それだけでもワサビの健康効果なのですが、ワサビには他にも色んな健康効果があることが研究でわかってきました。

ワサビの健康効果

ワサビには様々な健康効果が見られます。その主なものを挙げてみます。

①湿布として

日本では昔から、ワサビを食用としてだけでなく、民間療法にも使ってきました。たとえばリューマチや神経痛、気管支炎などには、ワサビを塗った布を患部にあてる湿布薬として使ってきました。ワサビの辛さ成分を活用したワサビの活用法です。


②食中毒予防
日本人は昔から、ワサビを刺身や寿司など、生に近い魚介類とともにワサビを用いてきました。ワサビの辛み成分であるアリルイソチオシアネートには殺菌・抗菌作用があり、細菌の繁殖を防ぎ食中毒を予防する効果があります。

ワサビを刺身や寿司など生魚に添えて食べるのはこのためで、現代と違い冷蔵や冷凍設備のない江戸時代に考案され、ワサビ入りの寿司が広まったと言われています。

ワサビには大腸菌などの細菌やカビ、さらには寄生虫の増殖阻止作用、すなわち抗菌作用を利用した製品も開発されています。ワサビ成分をフィルム状に加工したワサビシートは、お弁当箱のふたの裏に挟んでおくことで食べ物の腐敗防止効果が期待されます。

③ガン予防
ワサビに含まれるアリルイソチオシアネートには 強い殺菌作用の他、 ガン予防やからだの老化を予防するアンチエイジング効果 にも優れています。

④臭み消し
ワサビの辛みが舌を刺激して一時的に麻痺させることで、生臭さが感じにくくなると言われています。それは鮮魚特有の生臭さを消し、淡白な味わいにアクセントを付けてくれる効果とともに、食あたりを予防する働きを期待していたと思われます。

⑤口臭予防
ワサビの殺菌作用は口臭の原因である口の中の細菌に対しても働きます。

⑥食欲増進
ワサビの爽やかな香りと辛みが、胃を刺激して胃液の分泌を促して食欲を増進させます。胃液の分泌が促されることで消化を助けたり、胃もたれ改善にも効果的です。

⑦抗酸化作用
ワサビに含まれる6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート(6-MSITC)は、芥子油の一種で本ワサビにしか含まれていない成分です。6-MSITCには強い抗酸化作用があり、食中毒の原因菌として恐れられるO-157などに対しての優れた抗菌性が立証されています。

活性酸素の発生を抑制する効果があります。活性酸素は細菌を排除する役割を担っていますが、増えすぎるとしみやしわの原因となったり、がんや生活習慣病などの病気にかかりやすくなる原因となります。

⑧花粉症予防
6-MSITCには抗炎症作用があり、花粉症の症状を軽減させることができます。また、ワサビの香りの成分にもくしゃみや鼻水の原因となるヒスタミンの放出を抑制する作用があることが分かっています。

⑦がん予防
6-MSITCは肝臓の解毒代謝酵素を活性化させます。解毒代謝酵素は発がん物質を体外へ排出しやすい形に変換する酵素で、この酵素を活性化することで発がんを抑制することができます。さらに6-MSITCは、がんの転移を抑制する作用があることも分かっています。

⑧血液サラサラ効果
糖分や脂肪分の過剰摂取、喫煙、ストレス、糖尿病など様々な理由で血液の巡りが悪くなると、血液の塊が心臓や脳の血管に詰まりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞を発症するリスクが高まりますが、6-MSITCには血液の凝固を防ぎ、血の塊をできにくくする作用があります。ですから、脳血栓や心筋梗塞を防ぐなど医学的効用も見逃せないと言われ幅広く愛用されています。

ワサビを食べ過ぎると下痢から命の危険まで

ワサビはたくさんの効用がありますが、食べ過ぎると副作用で命の危険性もあるようです。ワサビは一度にたくさん食べることはなかなかありませんが、万が一食べ過ぎてしまうと体に副作用が起こることがあります。ワサビの食べ過ぎによる症状をいくつか見てみましょう。

①下痢・腹痛
ワサビの辛味成分アリルイソチオシアネートは刺激が強いため、食べると胃腸を刺激して腹痛や下痢を起こすことがあります。

また、胃腸が刺激されることによって胃がムカムカしたり気持ち悪くなることもあります。酷い場合は胃の粘膜が炎症を起こすこともあり、治療が必要になることもあるので食べ過ぎには注意しましょう。

②味覚異常
大量にワサビを食べると辛味成分に舌が刺激されることによって、一時的に味覚障害になることもあります。

感覚が麻痺し、他の食べ物の味がわからなくなったり、舌の表面が荒れて細胞の再生スピードが遅くなることがあるので注意しましょう。

③命にかかわる
ワサビを食べ過ぎると死亡することがあります。お刺身やお寿司に少量つける程度が通常の摂取量ですが、大量にワサビを食べると死に至る危険性があるのです。

例えば、イスラエルの60歳女性が、ワサビとアボカドを間違えて大量にワサビを摂取してしまったところ、「たこつぼ心筋症」という病気を発症しました。

このたこつぼ心筋症とは胸痛、胸の圧迫感、息切れなどの症状が現れることで、ストレスが原因で発症することもある病気です。心臓が「たこつぼ」のような形になることが病名の由来となっています。

ワサビの致死量ですが、体重50kgの人が一度に食べても良いギリギリの量は600gとされています。ワサビ600gを一度に食べることなんてまずあり得ないですが、この量を食べてしまうと死亡する危険性があります。

食べ過ぎて死亡することはなくても、味覚がおかしくなったり胃がムカムカしたり、腹痛を起こす可能性もあります。より多くの刺激を好む人はくれぐれも食べ過ぎには注意して下さい。

1日の摂取目安量

ワサビの1日の摂取目安量は、3〜5gでティースプーン1杯ほど になります。ワサビ好きの方はお刺身を食べる時など、ワサビを巻いて食べる方もいますが、食べ過ぎると胃腸を刺激してしまいますので気をつけてください。

まとめ

以下にワサビはお刺身などには欠かせないハーブで、効用もたくさんありますが、ワサビを食べ過ぎる危険な場合もあります。何事も適量を美味しく頂きましょう。それで、食べ過ぎの害をまとめてみました。

・ワサビの食べ過ぎは下痢をはじめ腹痛・胃もたれ・胸やけ・味覚障害の原因になります。
・ワサビの致死量は600gくらいですが、実際に海外では食べ過ぎで心筋症になった方もおられます。

・ワサビの1日の目安量は3〜5gで、ティースプーン1杯ほどの量が適量でしょう。
・ワサビは辛味成分が強いので一度にたくさん食べることは無いですが、副作用や命の危険性もありますので食べる量に注意しましょう。

腸内環境を整えよう

「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。腸内環境が整っていれば、腸内での正常な活動が出来ます。胃腸は私達が食べて物を消化・吸収・排出し、第一線で活躍する場所ですので、多少の無理はききます。

しかし、何事も限界があります。ハーブは美味しく食べるために、健康効果をもたらすめに適量を頂きましょう。

腸内環境が悪化していると、いったん下痢になった時、それが引き金となり慢性的な下痢になる可能性があります。健康になりたい、下痢の原因を知って、早く改善したいと思われるでしょう。しかし下痢の原因は非常に複雑で、多種多様な下痢の原因が考えられます。

続く下痢を改善するのは腸内環境を整えることが一番です。ですから腸内善玉菌を早急に増やしてやることが下痢改善の一番の近道になります。腸内善玉菌を増やすのに必要なサプリメントがありますので上手に利用してみましょう。