下痢からギランバレー症候群

下痢の原因・下痢からギランバレー症候群に

下痢の原因は思い返せば、必ずあるものです。

また、下痢には、思わぬ病気が潜んでいることもあります。

下痢以外におかしな所はないか、見極めることが大切です。

下痢の原因となる病気や、下痢を繰り返す人が注意したい事を考えてみましょう。


目次
・下痢の原因カンピロバクター(食中毒菌)  ・食中毒の事例  ・ギレン・バレー症候群とは ・下痢が続く症状とギラン・バレー  ・カンピロバクターが末梢神経を攻撃    ・下痢が治っても症状が重くなる時は神経内科を  ・ギラン・バレー症候群の予防  ・腸内環境を強化しよう

下痢の原因となった食中毒菌カンピロバクター

カンピロバクター食中毒は、『細菌性食中毒』の中で最も発生数の多い食中毒です。

カンピロバクター菌は、『牛』や『豚』、『鶏』、『犬』などの腸に存在しています。

そのためカンピロバクター菌の含まれる牛肉や豚肉、鶏肉を加熱不十分な状態で食べたときに感染します。

中でも、特に発症が多いのは『鶏肉』です。

鶏レバーやささみの刺身、鶏肉のたたき、とりわさなど半生の製品には特に気をつけましょう。

そのほか、菌で汚染された調理器具使用した場合や、菌を持つペットの犬などを触れた後に手を洗わないことなども原因になります。
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カンピロバクター食中毒の事例

①下痢・腹痛・発熱・頭痛・筋肉痛・めまいなどの症状
2017年に、東京都内でおこなわれた料理を提供するイベントで、カンピロバクターによる食中毒が発生しています。

患者数は49名で、同一のメニューを食べたのちに、下痢や腹痛、発熱などの症状があらわれました。

複数の患者の便から、カンピロバクターが検出され、イベントで提供されたメニューが原因であると断定されています。

カンピロバクターに感染すると、おもに『下痢』や『腹痛』、『発熱』などの症状があらわれます。

また、『倦怠感』や『めまい』、『頭痛』、『筋肉痛』を生じることもあります。初期症状は風邪と間違われることもあり、他の食中毒と症状は非常に似ていますが、潜伏期間が1日~7日とやや長いことが特徴です。

②運動障害を起こす病気を発症
まれに、カンピロバクターの症状が長引くと、『ギレン・バレー症候群』という病気を引き起こすことがあります。

当時20代後半の女性は、食事の時、手に力が入らず、うまく箸を持てなくなり、原因がわからないまま、症状は日毎に進行していきました。寝ていて起き上がることもできず、家族に支えられて神経内科を受診。

検査の結果、ギラン・バレー症候群と診断され、そのまま1か月半ほど入院しました。

ギラン・バレー症候群になってしまった原因は、ギラン・バレー症候群を発症する2週間前に居酒屋で、内部が生の鶏肉料理「とりわさ」を食べ、その後軽い下痢を起こしていました。

火が十分通っていなかったため、鶏肉の中にカンピロバクターが生き残っており、それによる食中毒がギラン・バレー症候群の原因でした。
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☆ギレン・バレー症候群とは

ギレン・バレー症候群は、末梢神経にかかわる病気で、『脱力』や『麻痺』、『呼吸困難』などの運動障害が生じます。

厚生労働省によると、市場に出回る鶏肉の6割以上でカンピロバクターが検出されたという報告もあります。

感染すると、2~3日後に下痢やおう吐、発熱などの食中毒症状を引き起こします。

そして、まれですが、感染から1~3週間後にギラン・バレー症候群を引き起こすこともあるのです。

カンピロバクターは、主に家畜に潜んでいます。

とくに、ニワトリにいることが多いのですが、このカンピロバクターは、十分に加熱さえすれば死滅します。
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☆なぜ下痢が続く症状とギラン・バレー症候群になるのでしょうか

ギラン・バレー症候群を発症する主なきっかけは、風邪や鼻かぜ鼻かぜなどのウイルスや細菌感染です。

下痢が原因となるのは下痢の原因のカンピロバクターによる細菌からです。

本来は細菌やウイルスを攻撃するはずの免疫(抗体)が、まれに自分の神経を誤って攻撃してしまい、そのために炎症が起き、全身の神経に炎症が起きます。

まず、手足の末しょう神経に炎症が起き、脱力感やしびれなどの症状があらわれます。

進行すると、中枢神経にまで炎症がおよび、呼吸困難などの症状が出ることもあります。

ギラン・バレー症候群は急性の病気で、難病に指定されています。

ギラン・バレー症候群に詳しい杏林大学医学部第一内科・神経内科の千葉厚郎教授は、「発症者は人口10万人当たり1~2人ですが、10歳ごとに区切った集団の中で発症率を見ると、10歳上がるごとに1割ずつ増えています。

自己免疫疾患というと若い人に多いというイメージがありますが、高齢者で起こりにくいというわけではありません」と話します。

ギラン・バレー症候群は、自然に治ることもあるそうです。
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☆なぜ下痢菌のカンピロバクターが末梢神経を攻撃するのでしょうか?

それは、免疫の働きと末梢神経の構造に関係があります。

ウイルスや細菌が体内に侵入し感染すると、体の中では異物を排除しようと抗体が作られます。

抗体は誰にでも作られるものですが、異物の表面にある成分と似た構造をしたものが末梢神経の側にもあるため、攻撃の対象と認識されてしまうのです。

抗体による攻撃は、一過性で終わります。

しかし、攻撃を受けた末梢神経のダメージが大きい場合は、重症になります。

神経は傷つくと回復が遅いため、治るまでに時間がかかったり、後遺症が残ったりすることもあるのです。
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☆下痢が治っても症状が重くなるときは神経内科に受診

風邪や下痢が治った後、症状がだんだん重くなるときは、ギラン・バレー症候群発症が疑われます。

早めに神経内科を受診しましょう。

下痢症状が治まっても、体の中に菌は存在しています。

菌が無くなるまでは、仕事を休むことをおすすめします。

カンピロバクターの症状が出ているときは、下痢や嘔吐、発熱などにより、体は脱水状態になっています。

こまめに水分を補給しましょう。

経口補水液やスポーツドリンクがおすすめです。

下痢止めは使ってはいけません。

カンピロバクターの治療では、菌を体から排出することが大切です。

食欲が出てきたら、おかゆなど消化の良いものから食べましょう。
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☆ギレン・バレー症候群の予防

手洗い」「うがい」「鶏肉は加熱」で予防できます。

カンピロバクターは一種の食中毒で、鶏肉から感染しやすい細菌ですが、加熱することで死滅します。

カンピロバクターによるギラン・バレー症候群は重症化しやすい傾向があるので、鶏肉は十分に加熱してください。

風邪には手洗い、うがい、体を冷やさないこと。

どちらも予防ができます。
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腸内環境を強化しよう

「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。

実は生活習慣病のおよそ9割は腸内環境の悪化が原因とされています。

つまり腸内環境がよければ殆ど病気をしないという事です。

下痢からギラン・バレー症候群が発病することも、腸内の免疫力にかかっています。

腸内環境がよければ免疫力は高く、炎症が起きにくい身体になります。

結果ギラン・バレー症候群にもなりにくい体になるわけです。

腸内環境の良し悪しは腸内にどれだけ腸内善玉菌が存在するかで決まります。

善玉菌が悪玉菌の2倍ほど存在すればいいのです。

そうすると日和見菌は多い方に加勢する性質がありますので善玉菌の応援に回ります。

善玉菌グループが80%、悪玉菌20%という理想的な良い腸内環境になります。

腸内環境を応援する善玉菌サプリメントがありますので、上手に利用しましょう。

下痢の改善は早くなり、思わぬ病気に移行しなくて済みます。