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下痢を改善するには?

下痢は短鎖脂肪酸不足

短鎖脂肪酸不足で下痢に

近年、腸活という言葉はブームになっています。それほど腸内の大切さがわかってきたということでしょうか。

下痢をはじめ大腸がんや免疫疾患、肥満や糖尿病といった全身疾患と腸内細菌の関係が示唆され、脳の機能にも影響を与え、腸内細菌が司令塔となって身体をコントロールしているということが、研究によって明らかになっています。


そうした中で、下痢の原因の一つに腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸不足が注目されています。
では短鎖脂肪酸は下痢とどのような関係があるのでしょうか。

下痢の原因となる短鎖脂肪酸とは

人は食べ物から栄養を吸収し不要なものを排出します。この役割を担うのが消化管です。

炭水化物にはヒトが持つ消化酵素で消化できる易消化性炭水化物と、オリゴ糖類や食物繊維類など、そのままでは簡単に消化吸収できない難消化性炭水化物があります。

しかし、人の体はよくできており、難消化性炭水化物は腸内細菌の多くがその一部を分解し、消化吸収の手助けをしてくれています。

短鎖脂肪酸は、この難消化性炭水化物を腸内細菌が分解することによって産生されるのです。
短鎖脂肪酸は3つあり、1つはわれわれが料理などに使うお酢の主成分である酢酸、もう1つはブルーチーズのすっぱさや香りのもとで、保存料や着香剤としても使われるプロピオン酸、そしてバターの香りのもとになっている酪酸です。

短鎖脂肪酸の働き

食べた物は消化して分解された場所で吸収されるので、大腸での発酵分解を受けるためには大腸以前にある、胃や小腸で分解されない物質であることが条件です。

つまり、でんぷんや砂糖など、大腸に届くまでに消化吸収されるものは、基本的に大腸の腸内細菌による発酵分解を受けることができません。

ですから、腸内細菌が好むのは簡単に消化できない難消化性炭水化物なのです。

そんな短鎖脂肪酸の特徴として、腸、特に大腸での正常な活動にとって無くてはならない成分です。

短鎖脂肪酸には主に7つの働き
①大腸の粘膜細胞のエネルギー源

短鎖脂肪酸は、大腸にある上皮細胞の貴重なエネルギー源です。大腸の粘膜は血管から供給されるエネルギーよりも、腸管腔から供給される短鎖脂肪酸のエネルギーに依存しているのです。

大腸上皮細胞は、水分や栄養の吸収、病原菌に対する粘膜のバリアを張る、といった役割を担っていますが、きちんと機能しなければ腸内フローラのバランスが崩れてしまうことで、炎症が起きる原因となります。

通常、細胞とは血液から運ばれてくる栄養を受け取ることで活動していますが、大腸の上皮細胞に限り、血液由来の栄養よりも、腸内細菌による発酵で作り出した短鎖脂肪酸を優先的にエネルギーとして補給する性質をもっています。

②腸のぜん動運動を促進

短鎖脂肪酸が適切に生成されることにより、腸内環境が酸性側にかたむきます。

そうなると、大腸の粘膜にあるセンサーを刺激して腸管の蠕動運動を促進します。便秘の改善につながります。

便秘の原因の1つに腸がしっかりと動かず、腸内の便が結腸などの大腸にとどまり、きちんと排出されないということが挙げられます。

便秘を改善するためには、この腸のぜん動運動を促進する働きのある短鎖脂肪酸を上手に利用することも良い方法と言えるでしょう。

③粘液の分泌、水・ナトリウムの吸収促進

短鎖脂肪酸は、結腸の粘液分泌も促進します。腸の中の便と腸管壁の間には粘液の層があって、ここに水が分泌されると、滑りやすくなります。

この粘液層によって、便がスムーズに腸内を移行できるだけでなく、便が腸管壁に直接触れることもありません
つまり、便に含まれる細菌が腸管壁から侵入することを防ぐバリアにもなっているのです。


さらに、腸管の粘液の分泌や水やナトリウムの吸収を促す働きもあります

④腸上皮細胞の増殖

短鎖脂肪酸が腸管上皮の新陳代謝をよくして、小腸や大腸の上皮細胞の増殖を促します。

結腸粘膜上皮細胞の成長と増殖を調節することで、大腸のバリア機能を高めます。粘膜物質ムチンの分泌を促します。
大腸バリアが正しく機能を果たすと、大腸から有害菌が吸収されず病気の原因を作りません。

⑤免疫系経路と炎症反応を調節

短鎖脂肪酸により腸内環境が改善されると、免疫力の最前基地である腸内バリアの効力が高まり、免疫力のUPにつながることで、さまざまな病気を予防、あるいは病気を緩和することができます。

炎症性サイトカインの発現を抑制し、炎症を抑えます。又、過剰な免疫を抑制する働きがあります。

⑥腸内のPH調整をする

短鎖脂肪酸の効果で、腸内が酸性にかたむき、腸内のPH調整が出来ます。

この酸性下の環境では、体に有用な善玉菌が増えて体に悪影響を及ぼす悪玉菌が減っていき、腸内環境の改善につながります。

弱酸性の腸内環境にしてくれるので、有益菌が増え、有害菌の出す酵素の活性が抑えられます。
大腸内で腸内細菌が短鎖脂肪酸を適切に生成することにより、鉄やマグネシウム、カルシウムなどのミネラル分の吸収を促す効果、更に、膵液などの消化酵素の分泌が促されて食品から栄養を効率的に摂取することにつながります。
糖尿病の予防効果も期待できます。

仮に人間の体に腸内細菌が1匹もいないとなると、食品を効率的に消化吸収することができないため、栄養をとり入れていくことができず、生きていくことができません。

ミネラル分は体で作ることができないので、食品として摂りいれ、効果的に吸収されます。

腸内細菌の研究はまだまだ途上ですが、その研究結果の1つがミネラル分の吸収促進作用です。

逆に、悪玉菌が増えて善玉菌が減っていくような腸内環境だと、バリア機能がきちんと働かず、ウイルスや病原菌をはじめとした侵入者が簡単にバリケードを突破してしまいます。

腸内環境を整えるためにも、短鎖脂肪酸をきちんと増やしていくことが大切です。

⑦大腸がん予防

高脂肪食による腸内でのリトコール酸やデオキシコール酸などの2次胆汁酸の増加は、DNA傷害や酸化ストレス、細胞毒性などにより大腸がんなどの大腸疾病を引き起こす。

短鎖脂肪酸は有害な二次胆汁酸も減らすので、大腸がんの予防になります。その他、食欲を抑える作用、肥満やインスリン抵抗性の改善などがあります。

短鎖脂肪酸が不足すると下痢、その他の多くの病気を招く
短鎖脂肪酸が不足すると、感染しやすくなったり、病気が治りにくくなったりするといわれています。
その一因として、大腸のバリア機能が低下すること原因だと言われています。

短鎖脂肪酸は、結腸の粘液分泌も促進します。腸の中の便と腸管壁の間には粘液の層があって、ここに水が分泌されると、滑りやすくなります。

この粘液層によって、便がスムーズに腸内を移行できるだけでなく、便が腸管壁に直接触れることもありません。

つまり、便に含まれる細菌が腸管壁から侵入することを防ぐバリアにもなっているのです。ところが、短鎖脂肪酸が不足して便が粘液でコーティングされないと軟便や下痢便になり、バリア機能も破綻すると腸管壁から病原菌が侵入しやすくなるため、病気に罹りやすくなるわけです。

短鎖脂肪酸不足で下痢になった例

戦争中に飢餓状態に陥った人たちの多くが下痢をしていたことが記録されていますが、それは腸内細菌の餌となる食物繊維を摂取していないために、短鎖脂肪酸が産生されなくなって、水の吸収がうまくいかなくなったことが主な原因と考えられています。ですから、毎日食物繊維などを摂取して短鎖脂肪酸の産生を維持することはとても大切です。

短鎖脂肪酸不足の見分け方

わかりやすい目安は便の臭いです。難消化性炭水化物の摂取が足りないと、腸内細菌はタンパク質が分解されて生じた尿素や死んだ腸管上皮細胞のかけら、あるいは腸管内の細菌を餌にします。

それによって、多量のアンモニアや硫化水素、インドール、スカトール、あるいはイソ吉草酸などが産生されます。アンモニアはおしっこの腐敗した匂い、硫化水素は卵が腐ったような匂い、イソ吉草酸はたくさんの汗を吸った武具の匂いです。

つまり、難消化性炭水化物の不足で短鎖脂肪酸の産生が低下すると嫌な臭いの便になるのです。

高齢者の食物繊維の不足が下痢を招く

高齢者は野菜などの摂取量が少なくなると、食物せんい不足し、短鎖脂肪酸不足となります。その結果、高齢者の人は下痢になりやすくなります。

高齢者は加齢に伴い、噛む力や飲み込む力が衰えたり、内臓機能が低下したりするため、摂食・嚥下障害や低栄養、消化不良などが起こる可能性が高まります。中でもせんい質の食べ物は加齢とともに食べづらくなるので、不足が目立ちます。

高齢者の食事は栄養が偏りがちになりますが、さまざまな健康効果を持つ短鎖脂肪酸を産生するために、緑黄色野菜やゴボウ、セロリなどの食物せんいを意識して摂取するようにしましょう。

短鎖脂肪酸の上手な増やし方

酪酸などの短鎖脂肪酸は、難消化性炭水化物を腸内細菌が分解することにより産生されるため、食物せんいの摂取が重要です。

食物せんいには果物や海藻類などに多い水溶性と、豆類、穀類などに多い非水溶性がありますが、それらをバランスよく、またゆっくり時間をかけて食事をすることが大切です。

さらに、プロバイオティクスの摂取も効果的です。プロバイオティクスとは、われわれの体に良い働きをするとされる生きた菌のことです。たとえば、乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌などが知られており、大腸のエネルギー源である短鎖脂肪酸を増やすことが数多く報告されています。

腸内環境を整えよう

短鎖脂肪酸は、難消化性炭水化物を腸内細菌が分解することにより産生されるため、食物せんいの摂取が重要です。更に、プロバイオティクスの摂取も効果的です。
日頃の食事に野菜や発酵食品など積極的に摂りましょう。

短鎖脂肪酸などが産出され、腸内環境を整うと下痢の改善は一段と早くなります。その他様々な病気の予防、改善になります。「元気の元は胃腸から」と昔から言われています。生活習慣による病気の9割は腸内環境が悪化したことが大きな原因となります。

腸内環境を整えると、腸内で行われる活動が正常化され、健康増進に繋がります。こうしたプロバイオティクスを増やし、腸内環境を整えるサプリメントがありますので上手に利用しましょう。


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