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下痢の原因は夏の魚介類

下痢の原因・夏の魚介類
夏の急な下痢が起こる原因は主に食中毒です。

その下痢の原因となる細菌やウィルスにはたくさんの種類があります。

その中でも、夏の魚介類から感染しやすい食中毒病原菌の一つに腸炎ビブリオがあります。

腸炎ビブリオの特徴、食中毒にかかったときの対処法、夏の魚介類を安心して食べるためにはどうすればいいのかをお届けします。


目次
・下痢を起こす腸炎ビブリオ   ・ビブリオ食中毒の特徴   ・腸炎ビブリオはスピード増殖   ・加熱しても毒性は消えない   ・腸炎ビブリオ食中毒の実際例     ・魚介類以外でも感染   ・腸炎ビブリオの下痢症状   ・腸炎ビブリオとノロウィルスの比較   ・腸炎ビブリオに感染した時の対処法   ・腸炎ビブリオの感染予防   ・腸内環境を強化しよう

下痢を起こす腸炎ビブリオ

1950年10月、大阪南部で、患者272名、死者20名を出す、戦後最大の食中毒事件がありました。

患者がシラス干しを食べてから約1時間後に腹痛を訴え、嘔吐・下痢をしたことから、大阪大学微生物病研究所(阪大微研)の故・藤野恒三郎名誉教授は、シラス干しに繁殖していた腸炎ビブリオが原因菌だと突き止めました。

この細菌は食中毒の病原菌として日本で初めて発見されました。

今でも毎年夏になると腸炎ビブリオによる食中毒が必ずどこかで発生しています。

腸に感染した腸炎ビブリオは毒素を産生して体に悪影響を及ぼします。

腸炎ビブリオは海底の泥や海水に潜む病原菌・細菌の一種で、サルモネラ菌同様、日本人がかかりやすい食中毒の1つに数えられています。

海にかかわる機会がなくても、水揚げされた食用の魚や貝に付着している事があり、それらを食べる事によって腸炎ビブリオに感染してしまいます。

ノロウィルスは感染力が強いため、感染者の便や嘔吐物(ゲロのこと)の飛沫からも感染してしまいますが、腸炎ビブリオは基本的にはそのようなものからは感染しません。
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●ビブリオ食中毒の特徴

魚介類に腸炎ビブリオが付着した物を食べると感染する

酸に弱く、胃酸で全て死滅するが、大量の腸炎ビブリオ、胃酸が薄まっていると胃を通過して腸に感染する

真水や熱には弱く通常の加熱調理で簡単に死滅する

30~37℃では、増殖スピードが速く、10分程度で数が倍になる

沿岸の海水温が20℃を超えると活発に活動して増殖し、魚介類に付着する

食品を食べてから6~24時間(早いものでは3時間程度)で発症する

主な症状としては水のような下痢と激しい腹痛があり、嘔吐や発熱などを伴うこともある

塩分のないところでは増えない、4℃以下では増殖できない

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●腸炎ビブリオはスピード増殖する

腸炎ビブリオは、長さ約2マイクロメートル(μm:1μmは100万分の1m)のずんぐりとした俵形で、1本の太いべん毛と細かいべん毛をもつ細菌です。べん毛をモーターのように使って海を泳ぎ回り、魚介類に付着します。


このときは、食中毒を起こすほどの菌の数ではありません。

ところが、腸炎ビブリオにとって最適とされる温度と塩分がある環境では、10分に1回の速さで分裂して増えます。

このスピードで増殖すると、1個の菌が1時間では64個に、6時間後には687億個になるのですから、ものすごい増殖力です。こうして、食中毒を起こします。

腸炎ビブリオは人間の体の中に入り腸管に付着すると、自らのタンパク質を送り込むための分泌装置を、船のイカリのようにおろして、ほかの細菌を腸内から排除し強く定着します。

腸炎ビブリオの菌は真水や熱に弱いのですが、菌が出す毒素は簡単に消えません。
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●加熱して腸炎ビブリオの菌は死滅するが、毒性は消えない

恐ろしいことに、腸炎ビブリオは宿主の心臓の筋肉細胞などを破壊する毒素を分泌します。

この毒素は熱に強いことと、発見当初に、赤血球の細胞膜に孔を開け破裂させる性質があるとわかったので、耐熱性溶血毒と呼ばれています。

少しくらい日にちがたっても、他の食物であれば十分加熱すれば食べても大丈夫なのですが、腸炎ビブリオの場合は別です。

タンパク質は一般的に、熱によって変性すると元に戻りません。


身近な例としては、ゆで卵が生卵に戻らないことがあげられます。

だから、加熱すれば大丈夫といわれるのです。しかし腸炎ビブリオの場合、加熱によって菌は死滅しても、毒素であるTDHはその後の温度変化によっては、いったん失った毒性を回復させることがあるのです。
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●腸炎ビブリオ食中毒の実際例

①野菜の浅漬けで食中毒
8月の下旬頃、ある飲食店で昼食に定食を食べたお客様客2名が、その日の夜、下痢・腹痛の食中毒様症状が発生したため便を調べたところ腸炎ビブリオが検出されました。

同じ日に、別の定食を食べた客5名も同様の症状が表れました。調査の結果、定食に付け合わせとして添えられた野菜の浅漬けが原因食品として断定されました。

この野菜の浅漬けは、当日、生の魚介類を前処理した後、同じまな板などをよく洗わずに使用して野菜を切り、塩漬けしたものでした。包丁やまな板を介して魚介類の腸炎ビブリオが野菜に付着し、塩を加えて3時間ほど室温に放置して漬け込む間に増殖して、食中毒を引き起こしたものと考えられます。真水では菌は増えませんが、漬物には塩があり、それで菌が増殖したのです。

②法事の仕出し弁当で食中毒
お盆の法事仕出し弁当を食べて食中毒が発生。検査の結果、保存されていたかにの酢の物と患者の便のいずれからも腸炎ビブリオが検出されました。

当日、この飲食店では、通常の3倍以上の注文で、忙しさのせいか包丁やまな板などをきちんと使い分けせず、さらに盛り付け後、長時間にわたり室温に放置したため、腸炎ビブリオが増殖し食中毒が発生したものと考えられます。

③ゆでガニで食中毒
9月上旬の暑い日の午後に、魚屋さんでゆでたタラバガニを買い、ビニール袋に入れたまま2時間程度買い物をして帰宅、冷蔵庫には入れず、夕食までそのまま台所に放置。夕食時に皿に盛りつけ家族で食べたところ、真夜中に家族全員が下痢・腹痛などの食中毒様症状を起こしました。

ゆでガニに付着していた腸炎ビブリオが、4時間以上の長時間にわたり30℃前後の室温に放置されたため、腸炎ビブリオが増殖し食中毒を引き起こしました。

④生きているホッキ貝で食中毒
8月中旬の午前中、知人から宅急便で生きたホッキ貝が届き、夕食に刺身で食べようと、そのまま物置に放置

まだ生きていたので予定どおり刺身で食べたところ、その夜、食べた家族全員が下痢・腹痛などの食中毒様症状が表れ、保健所で便を検査したところ腸炎ビブリオが検出されました。
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●魚介類を生で食べる以外でも感染する

腸炎ビブリオの食中毒は、魚介類を生で食べる以外にも、加熱調理済みの食材を調理器具や手指を通して再び汚染すること(二次汚染)や、野菜の浅漬けのような塩分を含む食品を二次汚染し、それを高めの室温で放置することによって菌が増殖し、食中毒を引き起こすことが往々にしてみられます。

魚介類の保管は適正な管理の下に冷蔵(10℃以下)または冷凍で行い、それらを扱った調理器具や手指はその都度よく洗浄消毒し、さらに調理してから食べるまでの時間をできるだけ短くすることが、この食中毒から身を守ることにつながります。
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●腸炎ビブリオの下痢症状

食後5~24時間程度で発症するケースが多いようです。


このように幅があるのは、体内に入ってきた細菌の数や体調によって変わるためです。腸炎ビブリオの主な症状は、激しい下痢と腹痛です。

吐き気、発熱もあります。

特に下痢はひどく1時間に何回もトイレに駆け込むような状態となります。

時には、トイレから出られないぐらいになることもあります。

ただ、症状に関しても潜伏期と同様に個人差があります。

こんな辛い思いをしないように、夏の暑い盛りには、特に魚介類の取り扱いに十分注意し、下痢にならないようにしましょう。
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腸炎ビブリオとノロウィルスの比較

腸炎ビブリオの感染ルートは主に魚介類ですが、同じように魚介類が感染源となる病原体にノロウィルスがあります。これらはよく混同されることがあります。以下の表はその比較です。



ウイルスは他の生物の細胞の中に入り込み、その細胞がもっているDNAやRNAの増殖機構を借りて、自分のDNA(またはRNA)を増殖させます。すなわち、他の生物の細胞の中に侵入して「寄生」しないと増えることができないのです。

この違いによって、体の防御反応(免疫反応)や治療方法が大きく変わってきます。また、腸炎ビブリオとノロウィルスの活躍する時期は大きく異なります。

腸炎ビブリオは夏に、ノロウィルスは冬に活発化するのです。

これらに感染したときの症状はよく似ていますが、腹痛の激しさと嘔吐の頻度に違いがあります。
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腸炎ビブリオに感染したときの対処法

腸炎ビブリオに限らず、食中毒になってしまったときの対処としては①脱水症状に注意する、②下痢止め薬は飲まない、③医療機関を受診する、の3点が重要です。

① 脱水症状に注意する
水分だけでなく電解質(ナトリウムやカリウム)も補給してください。

スポーツドリンクなどをおすすめします。ただ、スポーツドリンクは糖分が多くナトリウムが少ないです。そのため、たくさん飲む場合は水で薄めて、少し塩分を加えてから飲むのが良いでしょう。

スポーツドリンクが手元にない場合は、応急処置として水500mLに砂糖10~20g、塩1.5gを混ぜたものを作って飲んでください。これはテレビ番組でも放送されていた水分補給のためのレシピになります(経口補水液といいます)。また味噌汁を飲んでも構いません。

②下痢止め薬は飲まない
お腹の中にある毒素や病原体を体外に排出するためにも、下痢止め薬は飲まないでください。

しっかりと水分と電解質を補給しながら、便意をもよおしたら我慢せずに排便しましょう。

③医療機関を受診する
腸炎ビブリオ食中毒は1~3日で自然に回復することが多いです。

しかし、酷くなると過去には死亡例もありますので、下痢が酷い場合は病院へ行きましょう。

また腸炎ビブリオが体内で産生する毒素は心臓にも悪影響を与えます。

そのため、高齢者や体力の弱っている人は必ず医療機関を受診してください。
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腸炎ビブリオの感染予防

腸炎ビブリオの感染予防の5つのポイントを実行しましょう。

①食材は冷蔵保存する
腸炎ビブリオは20℃以上の海水中で活発に増殖します。

なんと10分間で2倍に増殖するといわれています。この増殖スピードはかなり早いです。

大腸菌も増殖が早いですが、その2倍以上のスピードです。ただ、4℃くらいの低温では増殖することができません。

感染予防のために最も重要なのは「腸炎ビブリオを増殖させないこと」です。そのためにも、食材は必ず冷蔵保存してください。

②魚介類は調理前に水道水でよく洗う
腸炎ビブリオは海水を好みますが、真水の中では増殖できません。

そのため、調理前には水道水でしっかり洗いましょう。

③加熱調理するときは十分に加熱する
腸炎ビブリオは60℃、10分以上の加熱で死滅します。

加熱調理する場合は、食材の中心部までしっかりと熱を通しましょう。

但し、腸炎ビブリオから発生した毒素は加熱しても消えませんので、菌が増える前にしっかり加熱しましょう。

④調理器具の使いまわしをしない
生の魚介類に触れた包丁やまな板などの調理器具は、使い終わったら必ず洗浄してください。

熱湯やハイターなどで消毒しておけば完璧です。

⑤冷蔵庫の中を整理しておく
冷蔵庫の中で腸炎ビブリオが広がっていくことがあります。最も注意しなければならないのが漬け物です。

腸炎ビブリオは海水を好む性質があるため、同じように塩分の多い漬け物の表面でも増殖しやすいのです。

そのため、冷蔵庫の中で生の魚介類と漬け物が触れてしまうと危険です。

その漬け物がテーブルの上に出されて室温に戻ると、腸炎ビブリオが増殖し始めてしまうからです。

冷蔵庫の中で生の魚介類が他の食材と接触しないよう、しっかりと整理しておきましょう。

ここまで述べてきたように、腸炎ビブリオは日本ではありふれた食中毒の一つです。

また日本人は寿司や刺身などで生の魚介類を食べることが多いため、腸炎ビブリオに感染するリスクは比較的高くなります。

食中毒は予防が大変重要なので、以上の事柄に注意して生活しましょう。

また、日頃から腸内免疫力を高めていることも、感染が広がらないで済みましょう。
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腸内環境を強化しよう

元気の元は「胃腸から」と昔から言われています。

何といっても腸内は食べた物を栄養・吸収・はいせつする大変重要な器官です。

特に有害なものを排出する機能は優れています。即、命にかかわる重要な臓器です。

日頃から腸内環境を強化して免疫力を高めましょう。腸内環境を整えるサプリメントがありますので、上手に利用しましょう。


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